緩和ケア病棟の入院手続きと父が入院した時のこと

介護・介護制度を学ぶ
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父は悪性リンパ腫を患っており、緩和ケア病棟で最期をむかえました。

緩和ケア病棟と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?

私は、「食事などの最低限のことしかやってもらえず、静かに最期を待つ」というイメージを持っていました。
父が緩和ケア病棟に入院して、実際に緩和ケア病棟の医師や看護師さんの対応を経験し、私のイメージは、”間違っていた”と気が付きました。
その経験をお話したいと思います。

緩和ケア病棟とは

緩和ケア病棟とは、緩和ケアを専門に行う病棟です。ホスピスともいわれます。

緩和ケア病棟は、がんの患者さんを対象としています。
がんに伴う痛みや苦痛を和らげる治療を行います。がんの治療を目的とした治療は原則行いません

つまり、緩和ケア病棟は、がんの積極的治療を終えた患者さんや治療を希望しない患者さん、一般病棟や在宅ケアでは対応が難しい苦痛がある患者さんの痛みや苦痛をできるだけ和らげ、人生の最期の大切な時間を患者さんや家族の希望を尊重し、穏やかに過ごせることを目的とした病棟です。

緩和ケア病棟のメリット

●診察は、緩和ケアの専門的な知識・技術をもった医師が行う
●病棟の性質上、看護師などの配置が手厚い
●個室が多く、プライバシーが守られ、病室で家族とくつろげるスペースがある
●面会や持ち込みする者に制限がない病棟が多く、自宅のような空間で過ごせる
●ひな祭り、端午の節句、クリスマスなど年間行事や音楽会などのレクリエーションを行う病棟がある
●マッサージなどリラックスできるサービスがある
●宗教的なサービス(牧師さんがいるなど)がある

緩和ケア病棟のデメリット

●料金が高額になることが多い(おおむね差額ベッド代)
 高額療養費制度の対象にはなります。
●入院のための面談予約が取りにくく、入院が容易でない場合がある
緩和ケア病棟の入院には、病院との面談があります。この面談後、14日以内に患者さんを入院させるという基準があり、面談が早すぎると14日が過ぎてしまい、遅すぎると患者さんが亡くなってしまうケースがでてきます。病床の空き状況との兼ね合いで、面談の設定がスムーズにいかないことがあります。

緩和ケア病棟の入院料の詳しい情報はこちらから

緩和ケア病棟の入院手続き

父が緩和ケア病棟に入院した際の手続きをご説明します。

1. 治療で入院している病院から緩和ケア病棟のある病院を紹介してもらった 
  3つの病院を紹介してもらいました。それぞれの特徴は次のとおりです。 

①A病院・・・自宅に近く交通の便が良い・基本は4人部屋で、個室は別途料金設定があり高額 
②B病院・・・自宅に近いが交通が不便・全個室・料金が安かった
③C病院・・・治療している病院の分院・一般病棟で緩和ケアをうける・自宅から少し遠い

結論としては、B病院にしました。
A病院は、最期の時期を4人部屋で父に過ごしてもらうことが、どうしても納得できず、かといって、個室の差額ベッド代は、ビックリするほど高額だったので、候補から外しました。

C病院は、一般病棟での対応なので、緩和ケア病棟の特徴でもある手厚い対応が期待できないと思い候補から外しました。

B病院は、交通の便が良くなかったですが、全個室なので必ず個室に入れます。ここが一番のポイントでした。料金も大丈夫!って思い、B病院に決めました。

2. 入院の申し込みを行い面談日を決定し、面談(家族面談)を受ける

入院中の病院から転院を決めた緩和ケア病棟のある病院(B病院)に連絡してもらい、入院の申し込みと面談日を決定します。

この面談は、入院する本人ではなく家族と病棟の医師・看護師と行います

●面談時の持ち物:診療情報提供書・入院時情報提供書
●面談時の費用:相談料として5,000円くらいかかりました

面談では、父の病状やそれまでの過程・家族の状況・今後、父の対応についてどう考えているかなどを聞かれました。

医師からは、緩和ケア病棟とは、「治療する場所ではない」ということを非常に強調されました

覚悟を持って入院してください・・・ということだと、改めて認識させられる面談でした。

3. 面談の結果とともに入院日のお知らせを受ける

数日後(2年も前なので、どう結果を受けたのかうろ覚えですが、2~3日だったと思う)、面談の結果、入院できることとなり、その時に入院日も告げられたと記憶しています。

父はタイミングよく入院できましたが、面談で入院OKと判断された時に、病床が開いていない場合は、入院の順番待ちリストに入り、空き次第、入院日の連絡を受けます。

4. 転院

介護タクシーを使いました。ストレッチャーごと乗れて、乗車中の振動も軽減されているのではないでしょうか。

点滴を外しての移動なので、本当に緊張したし、転院先到着まで1時間くらいなのに、2~3時間くらいにも感じました。ひたすら、父に何もないように・・・と願っていました。

代金は、10,000円くらいだったかな。ちょっと高い・・・って思いました(笑)

5.入院手続き

父が病室に入ると看護師さんから、入院手続きの手順とリネン類のレンタルの有無、昼食についてお話がありました。

また、父が亡くなった時に着せる服の準備をしてほしいと言われました。病棟で預かることができるので考えて欲しいと・・・。

母と父に着せる服を選びましたが、なんか父の死を待っているようで、きつかったです。母は、「こんなことしなくていい」と泣いていました。言葉であらわすことのできない気持ちでした。

入院(転院)当日に持参したもの
・保険証 ・日用品 ・薬 ・寝巻やタオル(医療機関によってはレンタルがある) 
・入院保証金(医療機関によって異なると思います。私たちは10万円(現金のみ)でした)

簡単にまとめると・・・

病院を選定 → 入院のための面談を受ける → 入院の順番待ちリストに入る → 病床が空き次第入院

以上が、緩和ケア病棟に入院するまでの手順です。

緩和ケア病棟の過ごし方

ここでも、父の入院した緩和ケア病棟の例をあげてみていきましょう。
どれも患者さんのこと・家族のことを考えていることばかりです。

緩和ケア病棟の特有の決まり事

一般病棟の入院と基本的には変わりませんが、先述の緩和病棟のメリットにもある通り、次の2点は家族にとってとてもありがたいルールでした。

面会時間に制限がない・・・24時間出入りできました。緩和ケア病棟の入り口は、警備員室で申請して受け取ったカードがないと出入りできません。安全面もバッチリでした。

病室に持ち込む物に制限がない・・・ナイフ・ハサミなどの刃物はダメですが、その他は許可されています。

病院食

通常の病院食もありましたが、父はもうそんなに食べることができなかったので、週ごとに毎日の朝食・昼食・夕食のメニューを選ぶことができる食事にしました。

1回の食事に主食・副菜・オプションのように多くはないけど、自分でメニューを選べるようになっています。

患者さんの好みの食事を選択できることは、変化のない病院生活では貴重なものです。

父は、おかゆと温泉卵を好んで食べていました。お昼は温かいそうめんが多かったかな・・・。転院する前は、ほほ食事がとれていなかったので、環境が変わったことも要因だと思いますが、2週間ほどはある程度の食事量をキープすることができました。

また、父は自分の部屋ではなく、レクリエーションルームで食べていました。他に患者さんがいないことが多いので、大きなテレビを独り占めしていました。テレビ好きの父はご満悦でした!

病室では食欲がわかないというような方にとっては、とてもありがたいスペースです。通りががった看護師さんもお声かけしてくれます!

イベントに参加

タイミングよく父が転院して次の週くらいにレクリエーションルームで、三重奏のイベントが開催されました。

父は、喜んで参加する!と言ってくれました。看護師さんにお願いしておくと、時間に合わせて、父を移動させてくれます。ありがたいです。

イベント後、看護師さんと写真を撮ってもらったり、楽しんでいました。

こういったイベントは、心が癒され気分も明るくなるのではないでしょうか。身体の調子が良いようであれば、参加することをおススメします。

個室の利点

父が入院した個室にはテレビもトイレもついており、机と椅子が2脚ありました。家族や友人などとゆっくりできるような気づかいでしょう。

また、病院に24時間出入り可能なので、仕事後、いったん家に帰って、母を連れて面会に行くことも可能でした。
時間に制限がないのは、助かります

父がいよいよという時は、看護師さんが病室に簡易ベットを用意して下さり、3日間父と一緒の部屋で寝ました。本来なら、母と一緒が良いでしょが、母も介護状態なのでそれは叶いません。娘としてこころがいたんだことのひとつです。

(まとめ)緩和ケア病棟に家族が入院するということ

緩和ケア病棟は、決して最期を待つだけ病棟ではありません。

いかに患者さんに穏やかな最期をむかえてもらえるか・・・ということに特化しています。

実際に父も、「放っておかれるところだと思っていたけど、ここ最高!」と言ってくれました。その言葉を聞いた時に、私は間違っていなかったと少しだけ気持ちが安らぎました。

父の様子と医師からの説明で、緩和ケア病棟に入るしかない・・・と頭では理解していても、なかなか受け入れることは大変でした。それは、父も同じだったんですね。

父が入院したのは2019年11月20日です。10日後の11月30日は、父の誕生日です。すでにモルヒネを使用していましたが、気力も食欲もあったので、ケーキを準備してレクリエーションルームで家族みんなで食べました。最後のお誕生日になってしまいましたが、広々とした空間で家族で過ごす時間は、幸せな時間となりました。父もそう思ってくれたことでしょう。

これは私の私的な考えですが、緩和ケア病棟って、患者本人の苦痛や痛みを和らげることを目的とした病棟ですが、家族にとっても心の準備をする期間を作ってくれるのではないかと思いました。

最後に、残念ながら大切な人を緩和ケア病棟に入院させる決断をしなければならなくなった場合に、いちばん気を付けることをお伝えしたいです。

それは、「決して罪悪感を抱かないこと」です。

”治療はしません”といわれる場所へ入院させることになると、理解し納得したはずなのに、少なからず罪悪感がわいてしまいます。

緩和ケア病棟の医師や看護師さんは、穏やかで安らかな最期を迎えられるよう、全力を注いでくれます。信頼して自分を責めないようにすることが大切です。

「決して罪悪感を抱かないこと」が 、父を緩和ケア病棟へ入院させることを決めた私のいちばんお伝えしたいことです。

父は、2019年11月20日に緩和ケア病棟に入院し、12月23日に逝去しました。入院期間は、1ヵ月くらいでした。

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